SSブログ

ノーマルカプ・ロロキュ(依真) [ほのぼの]

カズキュ⇔キュカズ前提でロロキュなロロ視点(ややこしい)
さすがに初っ端からエロはどうかと思ったので・・・!!!








【愛しさと弱さで構成された私。妬みと強さで構成された貴方】

こんな自分を醜いと思い理解しながらも、この想いは止められない。

「キューマ、明日は誰に就くの?」

太陽の光が燦々と差し込む椰子の林に軽々と登って実を採取している彼に私は地上から声をかけた。
彼は気づいてこちらに視線を向け「ロロ姫」と私の名前を呼んで木から降りてくる。

「珍しいな。君がこんな所に来るなんて」
「来たっていいでしょ?」
「また父君に怒られるぞ」
「平気よ。ねぇ、それより明日は誰?もしかしてエリカ?」
「知ってるんだ」
「明日のエリカの相手はカズでしょ?カズから聞いたの」
「そうか。ロロ姫はカズに就くんだ」
「ふふっ。絶対カズの勝ちよ!」
「やってみなくちゃ勝負は分からないな」
「もーっ!酷い、キューマ!」
「はははっ!」

何時もは無口な彼は人見知りこそしないものの、他人と関わる事を酷く嫌った。
それは彼の生い立ちに由来するけれど、時々彼が私の事も嫌ってるのではと錯覚してしまう。
そんな事絶対にないのに。
色素の薄い髪も、浅黒く焼けた肌も、優しい性格も、私は、彼が好きだった。いや、もしかしたら今も好きなのかも知れないが、認めたくない気持ちだった。

「何にせよ、明日ははしゃいで転ばないように気を付けて」
「それは昔の事でしょ!」
「何があるかわからないからな」
「転んだりしないもん!キューマこそ、怪我しないようにね!」
「あぁ。また明日」

これ、お土産にあげるよ。
手渡された椰子の実。どうやって食べよう!
家に帰る途中転んで脚を擦りむいたけど、これは、彼に内緒。

****

私は母を嵐で亡くした。彼も、同じく両親を。
私と彼。肉親を同時に失ったが、私達には決定的な違いがあった。
私は村の長の娘。彼は呪術師の息子。私には父と祖父母が残ったが、彼は全てを失った。唯一の肉親である姉は既にこの地を去っていた。
当然財ある者そうでない者に別れてしまう。
彼に残ったのは僅かな財産。これから生活していくには優に足りない。
程無くして、彼は他者に自分を売る術を覚えた。それは決して認められる行為では無かったが、私には止める力すら無かった。
その頃から、彼は人と付き合うのに一線を置くようになった。この私にでさえ。

私達は生まれた時から一緒だった。
彼の方が少し生まれるのが早かったから、兄弟のいない私の兄代わりを彼が勤めた。
彼は何時も優しかった。
時折私のわがままに付き合って父の不興を買ったが、彼は気にしていなかった。
私の事を考えて行動していた。

そして私が成長した頃、パンヤ島に新たな戦士を招く事となったお触れを受けた。
私の役目はこのリベラ族での歓迎を行う事だったが、村から1人、戦士をこの世界に呼びに行く役目を選ばなくてはならなくなった。
私は、キューマを選んだ。私の信頼は全て彼に行っていたのだから、当然の事だった。
勿論村の人々は口々に反対した。
こんな子供に務まる訳がない、と。
私は彼らの意見を無視して半ば押し通すような形で決めたが、彼は喜んで引き受けた。
その後だ。
彼の躰に切り傷や擦り傷、打撲跡が見えるようになったのは。
いつも転んだ、とか、ナイフの練習をしていたら、と彼は言ったが、どうして私はそこで気付かなかったのだろう。
彼は私の知らない所で妬みを受けていたのに!
それを知った時の絶望感は今も消えない。

やがて私と彼は戦士達の相棒として働く事になった。
その頃には彼も自分を売る事を止めていた。
彼は昔の優しい彼に戻った。
私にはそれが嬉しくて堪らなかった。

ある夜、彼が外に出ているのを家の窓口から見つけた私は、彼の後を追った。
彼を待っていたのは戦士の1人。
灼熱の髪を持つ少年。
名前を、カズ、と言った。
カズも彼と同じく、必要以上に人と付き合わない性格で物静かな人だった。
2人はどちらかともなくキスをした。
それは子供同士の拙い物ではない。
恋人同士の濃厚な口付け。
私はただその2人を見つめているだけだった。

ズルい。ズルいよ。
私が何かする前に、カズが全てを奪っていった。
けれど、キューマが幸せそうだったから、私は何も言えなかった。
キューマは相変わらず私に優しかった。カズも何時もと同じく静かだった。
あの夜見た物が嘘だと思うくらいに彼らは周りに対して自然に振る舞っていた。

*****

「…ろ。…ロロ…。…おい!」
「え!何!?」
「何、じゃない。打ったから行くぞ」
「ぁ、うん、そうね」

いけない。
ボーっとしちゃった。
向こうでキューマがエリカと仲良く話してるのが見える。

キャディを始めてから、キューマは変わった。
それは嬉しくもあったが、ほんの少し悲しい気分にもなった。

時折思う。

彼が私にだけ優しければいいのにな。
私だけを好きになってくれればいいのにな。

考えて、足元の石に気付かなかった。
私は頭から地面に倒れ込んだ。
エリカとキューマが慌てて私の元に駆けてくる。

「ロロ、大丈夫!?」
「ロロ姫!」

倒れている私を、キューマが抱き上げた。優しく私の額をキューマの手が撫でる。

「大丈夫かい?」

どうしよう。
どうしよう。

私、やっぱりキューマが好き。

目から真珠みたいに大きな涙が零れて、エリカもキューマも、カズでさえ慌てた。

「ろ、ロロ姫?」

きっとこの試合の後、キューマはカズの所に行っちゃうんだろうね。
どうしようもないぐらい切なくて、小声で「このままでいて」って囁いた。
キューマは苦笑いして、私を抱き締めてくれた。

                               END

ロロもキューマも両想いで、結ばれない関係が好きです。
次はキュカズでエロです。

誰か隠し方教えて下さい!!(涙


2007-09-22 12:40  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

 

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。